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2004/11/14

エンジェル・ハート(2)

 前回の記事で、エンジェルハートのアニメ化に対する思いを書きましたが、
今日は、エンジェル・ハートのことについて、もう少し詳しく書きますね。

 かつて、矢野立美掲示板の過去ログでも微妙な表現をしていた私ですが、
やはり最初のうちは「香ショック」を引きずっていて、読むのが辛かったですし、
いまひとつ物語に乗りきれない気分でした。 でも、9巻のアシャン初恋物語で
一気にエンジェル・ハートに対する見方が変わりました。 その経緯は、こちら
読んでいただくとして、香に関して気持ちの整理がついた状態で改めてAHを
読み返してみると、1~8巻もすごく魅力的に思えてくるから不思議なんですよね。

 最初のうちは、香の死のことだけでなく、リョウの言動がオジサンくさいとか、
香が美化されすぎてるとか、冴子の描き方が暗いとか、CHコミックス末期の絵柄
と随分違うとか、いろいろ気になってましたが、今では、そういうもの全てを補って
余りあるほどに魅力的な作品だと思うようになりました。

 AHで描かれているのは、心温まる世界、思わず涙してしまうような世界です。
もちろんCHの底に流れているのも「人間らしさ」「人の温もり」だと思いますが、
それ以上にもっともっと優しさを感じます。 それは多分、北条さんご自身が
これまで父親としてお子さんを育て、家庭を守ってこられて、そういう中から
生まれた 「ひとに伝えたい様々な思い」 が、作品のカラーや物語の流れに
色濃く反映されているからなのでしょうね。

 当然、CHを継承しているからこそAHのキャラも生きてくるわけですが、
CHを踏み台として、CHの限界を乗り越えたところにAHの世界が存在している
ような気がします。 CHコミックスのミック編からラストにかけての物語は、今でも
最高傑作だと思っていますが、CHはリョウと香の恋愛物語でもありますから、
二人が結ばれてしまえばそれでハッピーエンド、物語も終わってしまいます。
でなければ、いつまでたっても、「恋の堂々巡り」と「犯人を懲らしめて一件落着」
の繰り返しになります。 ですから、香の心臓を移植された鮮烈なキャラを登場
させ、物語を一気に新たなステージに突入させるしかなかったのかもしれません。

 確かに香の死の事実は悲しいことですし、もしかして別の選択肢も
あったかもしれないですが、今のAHには、あふれんばかりの香とリョウの愛が
感じられます。 こんなに大きな愛情に包まれた物語世界なら、
もはや香の死は、死でないとさえも思えてきます。

 今では、「AHの世界観の中で、香の魂に守られながら生きていく登場人物達の
行く末を暖かく見守っていこう」、そんな気持ちになっています。

       ..............................................


 ということで、これまでのストーリーの簡単な感想を書きますね。

【第1巻~第4巻】
  アシャンが自殺を図ってからリョウに引き取られるまでの物語、なかなか
 ハードな展開で読み応えがありました。 香の死は衝撃的ですが、アシャンの
 登場のさせ方、生い立ち、香やリョウとの出会いの描き方は秀逸ですね。

【第5巻~第6巻】
  アシャンの夢に出てくる 「リョウと香の出会いとCHになった経緯」 は、
 とても興味深かったです。 シティーハンターの設定とは全然違いますが、
 これはこれで非常に面白いと思いました。

【第6巻~第7巻】
  バイオリニスト夢ちゃんのお話は、アシャンが自らの過去と
 真摯に向き合う姿が非常に巧く描かれていて良いエピソードでした。

【第8巻】
  冴子のストーカー話、ストーリー的にはあまり私好みではないのですが、
 冴子と槇村の過去が明らかになった点はとても興味深かったです。

【第9巻】
  アシャンの夏目さんへの初恋物語。 これまでの一番お気に入りエピソード。
 気に入った理由は一応こちらに書いてありますが、その他、アシャンの成長を
 感じさせるストーリーである点もいいですね。

【第10巻】
  香の姉の話。 シティーハンターそのまんまというのは ちょっとやり過ぎかな
 という気もしますが、結構好きな話。ラストのリョウのプロポーズ・シーンは最高。

【第11巻~第12巻】
  白蘭の話、これは大絶賛! 白蘭がアシャンと同様の境遇にあるという設定も
 いいですし、アシャンや信宏の過去を巧みに取り入れている点もいいですね。
 白蘭と早川との心の触れ合いがすごく良く描かれています。

【第12巻~第13巻】
  心臓移植を受けた高畑のお話、感動的な結末ですね。 姉妹の心を通わせる
 手伝いができたことが生きた証だという高畑の台詞、泣かせますね。

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 エンジェル・ハートは、シティーハンターよりも、ハードでシリアスな雰囲気。
少なくともギャグやコメディ中心ではないですから、クールで、シャープで、
スピード感あふれる音楽や、都会的でやや洋楽テイストな曲が似合いそう。 
その一方で、非常に感動的で美しいシーンも多いですし、巻が進むにつれ、
心温まる物語が増えてきています。 特に9巻以降を読んでいると、
「この温かさは完璧に矢野さんの世界だなぁ」と思えてきます。 こんな温かくて
美しくて泣けるお話だったら、本当に矢野さんの音楽がぴったりですよね。

 それにしても北条さんは、読者を泣かせるのが巧いですね。 時にハチャメチャ
だったりもするけれど、話に説得力があるし、ハードな展開になっても、最後には
ふわぁっと温かい結末を用意してくれる。 で、そこにちゃぽんとハマってしまい、
思わず涙してしまうんですよね。 しかも登場人物の心理描写が抜群。絵も抜群。
確かにアニメでこの味を再現するのって難しいというか、ハードル高いですよね。
それでも、シティーハンターがそうだったように、AHの場合も、
アニメの特性を生かした魅力的な作品を作ってくださると信じています。


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